インデックスのパフォーマンスを超えることの難しさ
トレードを始めて思うことがあります。
自分のトレードのパフォーマンスが、
オーソドックスなインデックス投資のパフォーマンスを超えることは、
並大抵ではないのだと。
投資(短期売買やトレードではなく)を始めた時、
信じていたことがあります。
「ゆっくり投資することは悪くない。早く稼ごうとすれば損をする」と。
資産を築くチャンスであった米国株
米国株は2022年の弱気相場から一転、懐疑的な2023年を経て、
強気相場となりました。
数多くのトレードをしなくとも、弱気相場で株を買い、
そのままにしておけば資産が築けたのです。
カメのようにゆっくり投資して、早く稼ごうとするウサギを追い越す。
これは「ズルい表現」です。
大きな上昇のあったものをピックアップし、
それを買っておけば「ゆっくり投資した」ことになるのですから。
「たられば」の部分がちょっとズルいのです。
しかし、その本質は揺らぎません。
株を分散して持ち、2022年の弱気相場に手持ちの半分を投資し、
残り半分を万が一のために現金として持つという防御的な姿勢でいたとしても、
それなりの利益を享受できたでしょう。
ただ、利益を十分享受するためには、それなりの資金量が必要です。
資金量が少なくても「ゆっくり投資」はできるのでしょうか。
5銘柄程度に分散して投資し、1銘柄が2倍になるまで
長期投資するという戦略です(もちろん損切はします)。
2倍株が出れば、パフォーマンスとしては20%増となります。
長期投資といえば、2022年までの米国株は優良銘柄に「ゆっくり投資」していれば、
大きく資産を増やすことができました。
まさに「ゆっくり投資して早く稼ぐ」ことができた黄金時代でした。
ただ、忘れてはいけないことがあります。
それは、金融緩和などの市況が許したことであり、
「なにも考えずに投資して儲けること」と「ゆっくり投資すること」を
混同してはいけないということです。
拙いながら、いろいろなアセットに手を出す
話は変わります。
資金量が小さく、
インデックス投資や個別株投資の平均的なパフォーマンスでは満足できないことを
知った私は、短期売買を始めることにしました。
トレンドが出れば大きく儲けられることを知ると、
それが出たアセットを取引すべく、先物・FX・CFDと手を付けることになります。
後でわかったのですが、
本格的なトレンドフォローはすべてシステマチックに行い、
取引を逃すようなことは許されませんでした。
その後、スイング、デイトレ、スキャルピングを試し、
「早く稼ごうとして損をする」という意味をトレードを始めて実感するのでした。
「早く稼ごうとして損をする」言葉の意味
この言葉はトレードにおいて、いくつかの意味があります。
ひとつは、先ほどの「ゆっくり投資して早く稼ぐ」の対比です。
- 取引回数だけを重ねて小さな値幅だけを取るより、
結局、1回投資して寝かせていたほうが値幅を取れていたということ。 - 取引回数だけを重ねて、無用な手数料・スプレッド・金利を支払うこと。
- 短期売買になるほど「利益を得る難易度は上がる」という一般的なコンセンサス。
ふたつめは、トレード特有の「落とし穴」に関することです。
- トレード中毒となり、無用な取引で損することが多くなること。
- レバレッジをかけて資金管理を怠ったために、
一時は大きな利益を得ても全損したり、
口座を吹き飛ばしてしまうこと。 - 資金効率は良いが、エッジがないかエッジが負の取引をして
効率よく資金を減らしてしまうこと。
上記に挙げただけでも、トレードの「早く稼ごうとして損をする」ことは非常に起こりやすいことが分かります。
「ゆっくり投資して早く稼ぐ」をヒントにする
それでも、と思います。
トレードで大きな利益を上げたい。
そのためにはどうすればよいでしょうか。
ここでは「ゆっくり投資して早く稼ぐ」ことから、トレードのヒントを見つけ出す試みをしてみます。
機が熟すのを十分に見定める
余計な取引をせず、相場の大きな転換点を狙うという投機をします。
大きな転換点は大きな値動きが発生します。
あまり取引回数を重ねなくとも、大きな利益を上げられる可能性があります。
ポジションをどこまで安全に持てるか突き詰める。
ポジションをプラン通り保有できるかどうかは、
エッジのある取引の場合、パフォーマンスに直結します。
防御的な投資と異なり、メンタルの負荷は大きくなることは避けられませんが、
そのポジション量やレバレッジを適切に管理できれば、
プラン通りの執行を行うことができます。
複利運用の特性に注意する
複利運用では、損益の出方が荒くないほうが結果的に資産が増えます。
これは、資産が-10%のあと約+11%で元の資産に戻りますが、
-50%のあとは+100%でないと資産が戻らないということに起因します。
破産せず資産を爆発的に増やすケリー基準という
ポジションサイズ法がありますが、
あれは資産最高値のあとのドローダウンが酷く、
「損をしている」期間が無視できないことに注意が必要です。
トータルプラスが確認できる時間軸をおさえる
トータルプラスがどういう時間軸で確認できるか、
きちんと押さえておくことです。
これはスイングトレードよりもスキャルピングに分があります。
スイングトレードでは月次プラスならよい方で、年次でプラスを目指します。
スキャルピングの場合は日次で高確率でプラス、週次でプラスを目指します。
シビアになりますが、トータルプラスが確認できない場合は、ただ損をしている可能性が否定できません。
利を伸ばす
逃げ足早く利食いするというトレードもあるでしょう。
ただ、大相場をとらえたと思ったら、
利を伸ばすことはパフォーマンス向上につながります。
「ゆっくり」とはある意味鈍感でいることを意味します。
それなりに大きなポジションを管理したうえで利益を出し始めたら、
鈍感力を発揮して利益を伸ばすことは、
ある種の投機の成功をつかむことになります。
結果的に負けない取引をする。
これは今までの内容を含んだ総合的な意味となります。
投機には確率的な「負け」は必ず存在しますが、これは避けられません。
そうではなく、取引を積み重ねた結果、
口座が破産するという「負け」には必ず原因が存在します。
さきほどのトレード特有の「落とし穴」で紹介した項目もそうですが、
それらの原因をつぶすことが、
「早く稼ぐ」ためのトレードの資金効率性を十分活かすためには必要です。
おわりに
投機で「ゆっくり早く稼ぐ」というのはある種の幻想です。
ただ、その「負けにくさのエッセンス」というのは、参考にすべき点があるように思えます。