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オプション売りのエッジの再定義:高勝率ではなく経路が重要

2024年1月8日

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仕事をしながら投資・トレードをしています🔶インデックス投資とスイングトレード🔶オプション・分割売買による柔軟なリスク管理を採用🔶取引銘柄は日本株(かぶオプ)・米国株(米国株オプション)・通貨(FXオプション)・株価指数(日経225オプション/先物)・商品先物と幅広く🔶FP資格勉強中

損切り・利確幅の設定による勝率への影響

投資・トレードでは、勝率は重視されることが多い項目です。

原資産の直接的な取引の場合、
統計的には勝率は損切幅と利確幅でほぼ決まってしまいます。
高勝率とは、利確幅が損切幅より狭い状況であり、
エッジのある場合はランダムウォークより勝率が数%大きい状況を指します。
損小利大とは、利確幅が損切幅より大きい状況であり、必然的に勝率は下がります。
エッジのある場合は、
同じ勝率でむしろ利確幅をどれだけ大きくできるかが焦点です。

損切幅・利確幅を設定した場合、
それは幅を設定していない場合と異なる損益分布になります。
ファットテールを持つベル型分布ではなくなります。
損切幅だけを設定すれば、それ以上の損失にはならないものの、
勝率は必然的に下がります。
下がりますが、大損失というファットテールを消し去ることができます。

オプションの売りにおける損切り

オプション売りの場合はややこしくなります。
何も損切も利確も設定せず、ある時点から満期までポジションを持った場合、
損益分布は損大利小、歪度は負です。
勝率はMoneyness(インザマネーになりやすい程度)によりますが、
だいたいエントリー時のデルタを参考に見積もることができます。

ややこしいのはリスク管理のための損切をした場合です。
勝率は明らかに下がります。
下がるということは、
オプションの売りの魅力の一つである勝率の高さという特徴がなくなるわけです。

オプションの売りにおけるエッジの定義

それでも、オプション売りをする必要性はあるのでしょうか。
ここで考えたいのはエッジということです。
エッジは取引により生まれる利益の期待値であり、
それと資金管理を適切に行えば「破産せずに最終的にトータルでプラス」になります。

オプションの売りのエッジを、
「ある期間までホールドした場合に利益になる」と定義してしまうと、
損切の必要性とかち合ってしまいます。
損切をするということは、
ポジションをホールドしないケースが多くなることであり、
エッジ通り行動できず、定義に合わなくなってしまうからです。
これはセータリスクを利益に変えようとした場合の葛藤原因となります。
(もちろんホールドしきることによるエッジがあるのであれば、
損切りしないことも含めてトレードプランとすることはできます)

一つの有意義なエッジの定義の例は、
「ボラティリティの平均回帰的な動きを利益に変える」ということです。
これはオプション売りのベガショートリスクを取るということですが、
損切をしてもエッジの定義とかち合わないケースです。

ここまで考えるとオプション売りの魅力とは高い勝率とは限りません。
損切というリスク管理を行い、
勝率を下げてもエッジがある(魅力がある)取引を
オプション売りに見出す必要があります。
ボラティリティトレードのベガショートが一つの例でした。

セータリスクの適切なエッジの定義

では、オプションの減価=セータリスクについての
よいエッジの定義はないのでしょうか。

「『ここまでは来ないだろう』というラインにエッジがある」と定義した場合、
ある程度ポジションをホールドすることはできます。
しかし、値動きの経路に依存します。
エントリーした後、
オプションの減価が始まる前に一気に逆行された場合は、
ホールドしきれないかもしれません。
権利行使価格を少しでも超え、
インザマネーになった場合は損切りすることになるでしょう。

やはり、勝率は下がるのです。

経路依存の重要性

ただ、ヒントはありました。経路依存ということです。

ブラックショールズモデルなどを使ってトレードする場合、
IVには注目するものの、あまり原資産の経路には注目しません。
しかし、含み損益の時間経過による変化は、
ポジションに対する原資産の値動きの経路に依存し、
それによりポジションをホールドするか損切りするか組み替えるかの
意思決定がなされています。

経路依存しない満期保有の損益分布は実践的ではなく、
実際は経路を考慮することが、損切やリスク管理と結びついていることになります。

オプションの売りでのセータリスクのエッジの定義を、
「ある種の値動きの経路を想定し、
想定内でオプションの減価が進んで利益になる」
とするのはどうでしょうか。

想定外の値動きに対しては、損切で対応しても、定義とかち合うことはありません。
また、勝率は想定・許容している経路数に応じて変化します。
問題はこれが「トータルプラス」になるかということなのですが、
これについては、個々の売買シグナルやテクニカル分析、
過去検証で個々に検証していくしかありません。

ただ、このエッジの定義を定めることで、検証の基準もおのずと定まると思います。

まとめ

まとめると、オプション売りの勝率を犠牲にして得られるものは、
損切やポジション組み替えによる機動的なリスク管理でした。

エッジの定義を「ポジションのホールドによる利益」ではなく、
「許容する経路による利益」と設定することにより、
リスク管理上の損切がエッジの定義とかち合うことを回避することができます。

それにより、オプション売りの魅力(時間の減価から利益を得る)は
リスク管理により失われることはありません。

最近、オプション売りのポジションが損切続きだったため、
この記事で改めて考え直しました。
経路依存性については、私も忘れていたことでしたので、
思い出せてよかったと思います。

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