はじめに
「必ず負ける」シリーズの記事も第三弾となりました。
今回は「必ず負ける損小利大」についてです。
今まで、プロスペクト理論に逆らう損小利大が正しいと書いてきたのに、
なぜ必ず負けるのか。
その理由について少し書いてみたいと思います。
損小利大で負ける理由は損切の仕方
なぜ損小利大で必ず負けるのか。
それは、損切りの仕方を間違えているからです。
損は小さい方がいいと考え、損切り幅を狭めたとします。
しかし、どこまで狭めるのがいいのでしょうか。
値動きのボラティリティに注目します。
ボラティリティに対して、狭すぎるストップロス注文を設定していないでしょうか。
損切り幅を決めるということは、
ボラティリティによって生じるある種の逆行を許容することです。
ピンポイントで順行することだけを認めて、
逆行(失敗)を認めないというのは現実的ではありません。
それをしてしまうと、エッジが現れる前にボラティリティに食われてしまいます。
これが「損切り貧乏」の一つの典型例となります。
有効な手法を使っていない場合
もう一つの「損切り貧乏」の典型例としては、
トレンドフォローでも、あまり有効でない手法を使っている場合です。
FXの短期売買によく見られますが、
トレンドフォローの押し目買いをしたつもりが、
しっかりとストップロスを駆られて、
その後順行するケースが頻発するトレードを続けることです。
損切り幅を広げることでストップ狩りは回避できますが、
そうすると損小利大ではなくなりパフォーマンスが落ちます。
(ただ、そもそも手法自体の期待値がどうなのかという点はあります)
損切りした後、値動きが戻ることはよくあること
こう書いている私も、割と損切り貧乏を経験します。
オプションの売り(損小利大ではありませんが)をしていた場合、
時間が経たずに逆行されるとすぐ損切りする傾向があります。
すると、また値が戻ったとき、
「利益が出ていたはずの取引だったのに」と悔しい思いをします。
ただ、値動きのランダム性を考えると、
値が戻るということは統計的によくあることなのです。
こればかりを期待して損失ポジションをホールドしてしまうと、
さらに大きい損失になったときに大変なことになってしまいます。
そう考えると、小さな損切り(と勝率の低下)は必要経費なのです。
まとめ
以上より、損切り貧乏の処方箋としては、
- 「ボラティリティよりも、十分余裕を持った大きい損切り幅とする」
(スキャルピングは例外です) - 「トレンドフォローのうち有効な手法を利用する」
ということでしょうか。
後者の場合、勝ち続ける売買手法を探してしまう、
「聖杯探し」に陥る罠があるので注意が必要です。
- 勝率40%・リスクリワード2~2.5:1あたりを妥当な検証成績とする
- 過度に短時間の時間軸で取引しない
という点に留意するのがよいでしょう。