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取引コストから考えるFXとギャンブルの比較と期待値への影響

2024年5月22日

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仕事をしながら投資・トレードをしています🔶インデックス投資とスイングトレード🔶オプション・分割売買による柔軟なリスク管理を採用🔶取引銘柄は日本株(かぶオプ)・米国株(米国株オプション)・通貨(FXオプション)・株価指数(日経225オプション/先物)・商品先物と幅広く🔶FP資格勉強中

はじめに

投資やトレーディングに慣れてくると、忘れがちになるのが取引コストの概念です。

自分が行った取引の取引手数料やスプレッドを累計してみると、
想像以上のコストを支払っていることが分かります。
この分だけ勝つことは難しくなっているのですが、
期待値の面で再確認してみようというのがこの記事です。

ギャンブルとFXの控除率の比較

取引手数料やスプレッドは、ギャンブルの控除率と比較されます。

長期的に見て、
パチンコは20~15%、競馬は30~20%、宝くじは54%トータルから差し引かれます。

FXはドル円の場合0.2銭であり、
ドル円のレート155円とすると0.2銭はレートの0.0012%であり、
コストは非常に抑えられているように「見えます」。

これは、FXの控除率が低いので、ギャンブルと違って利益が出る可能性があるという
FX紹介ブログに使われる論理です。

FXのコストも期待値からの控除を考える必要がある

しかし、おかしい点があるのに気付いたでしょうか?

ギャンブルの控除率は、期待値に対する差し引き量であるのに対して、
FXはレートという売買代金に対して占める割合であるということです。
フェアに比較するのであれば、FXも期待値に対する差し引き量に換算すべきです。

FXの期待値におけるスプレッドコストの割合を計算する

そこで、勝率60%、リスクリワード比1:1、10pips幅利確・損切という、
標準的に優位性のある状況を考えてみます。

1万通貨の場合、リスク量である10pips利確・損切幅は1000円と等しくなります。
控除率に類する割合はリスク量である1000円に対して0.2pip=20円なので、
20/1000=2%であることが分かります。

(本来の控除率は期待値込みで差し引かれる割合です。
これは勝率50%、リスクリワード比1:1、10pips幅利確・損切という、
期待値の無いケースにおいて控除率2%と言うことができます)

期待値は10pips×0.6-10pips×0.4=2pipsとなります。
したがって、その金額的期待値は2pips=200円となります。

スプレッドコストを考えます。
0.2銭は0.2pipsであり、金額的コストは20円となります。
すると、スプレッド込みの期待値は200-20=180円です。

これは期待値に対するスプレッドコストは20/200=10%となり、
非常に大きい
ものであることが分かるでしょうか。

スプレッドコストが期待値に与える影響

もし、期待値のない余計な取引によって、
取引コスト0.2pips=20円分損をしたとすると、
期待値2pipsであるので1回取引するだけで取り戻すことができます。
しかし、全体としてパフォーマンスは10%落ちます。

このプロセスを理解をすることにより、
期待値の低い売買シグナルを見極めスルーするということは、
全体のパフォーマンスを引き下げる要因を排除す
るということであり、
葛藤を持つ必要はないと分かります。

取引コストは期待値を破壊する

FXをはじめとする投資・トレードにおいては、
取引コストの影響は控除率ではなく、
期待値をどれだけ破壊するかということを定量的に計算することで、
その影響の大きさを知り、慎重に行動することができます。

取引コストはスプレッドの他にも売買手数料、スリッページがあります。
これらはスプレッドと同様の計算により、期待値を破壊します。

取引コストの期待値の破壊を抑えるには

取引コストの影響を抑えるには
金額的期待値に対するコストの差し引き割合を小さくします。
つまり、勝率と利確・損切幅の比をそのままに、値幅を大きくするということです。

例えば、先ほどの取引の例を変え、
勝率60%、リスクリワード比1:1、20pips幅利確・損切、10000万通貨と
利確・損切幅のpipsを10から20pipsへ増やした場合を考えます。
(取引コストは変わらず0.2pips=20円とする)

その金銭的期待値は、
取引コスト無し:0.6×2000-0.4*2000=400円
取引コストあり:0.6×2000-0.4*2000-20=380円

となり、期待値に占める取引コストの割合は20/400=5%と、
先ほどの10%よりも半減します。

これが、デイトレよりもスイングトレードや長期投資、ボラティリティが高い状況の
期待値が高い大きな理由の一つとなります。

多く取引してももうからない理由

また、オーバートレードやちょこちょこ取引回数を増やしても
儲からない理由となります。

金額的期待値が半減すれば、取引回数を倍にしても同じ利益しか望めません。

取引機会が倍になっても、累積ポジション保有時間が増えてしまえば、
単位時間当たりの金額期待値は下がってしまい、
儲かるスピードが遅くなってしまうということなのです。

それを補うために、さらにレバレッジを掛けたりリスクを取ったりしますが、
それにはトレードスキルの習熟が必要なため、
失敗の可能性も高まります。

おわりに

以上、取引コストの無視できない影響について書いてみました。

金額期待値の見積もりは、
トレード毎の期待値を精査し、エントリーするかどうかのに役立ちます。

是非活用してみてください。

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