投資トレードでの比較優位
投資・トレードでは期待値がある行動を取り続けることが、
成功を支える大きな柱の一つとなります。
その際、他の投資家・トレーダーより優れること(比較優位)で、
より優れた投資行動を取ることが求められます。
「何の特徴がすぐれているか」を明確にできることは、
それ自体が自己のメタ認知能力に優れていることの証左でもあります。
注目すべきAIによる比較優位
比較優位な特徴の中で、
獲得するためのハードルが今急速に下がっている特徴があります。
そして、その事実を認識しなければ、
他者との大きな差を作ってしまう状況にあります。
何の特徴でしょうか?
それはAIがもたらす一連の利便性です。
現在、顕著なのは、
アイデア列挙/検討・要約化・語学・数学・プログラミングです。
アイデア列挙/検討
人間の投資行動にはバイアスがかかっています。
自分の望むアイデアに固執し、検討が十分でない状況で、
GOサインを出してしまうことがあるでしょう。
この対策に、AIを使って、投資根拠の強み・弱みを列挙してもらい、
それを検討することは、非常に有効です。
「価格が上がっているが、まだ買える株だろう」という根拠も、
AIは売買プランの足りない部分を自動的にブレーンストーミングし、
「価格が下がった対応を具体的に決めているのか」という部分を
冷静に指摘するかもしれません。
要約化
これは現在、私も活用していることです。
特に、youtubeの投資チャンネルの内容は、
一旦要約化して把握してから、気になる部分を早送りしたり、
重点的に確認しています。
一つの動画につき20分かかっていたのが、2~5分で済むという状況です。
「タイムパフォーマンスにこだわりすぎていないか。理解が浅くなるのではないか」
という指摘はあります。
しかし、選択と集中が行えるため、
漫然と多くの投資情報をみることはなくなるのではないでしょうか。
また、投資・トレードでは、
有価証券報告書や決算短信、10-k,10-q,8-kなどのpdfを多く閲覧することがあります。
これは見慣れている人であれば、要所をチェックするだけなので、
AIによる要約化は必要ないかもしれません。
しかし、今後AIが過去のデータを学習していた場合、
気になるファンダメンタルの変化を、
すぐに列挙させることができるようになります。
これについてはニーズがありますので、リリースされるのは時間の問題だと考えます。
これを軽視せず、AIの進化を注視する必要があります。
語学
特に英語については、口頭会話も含めて、多くのハードルが下がっています。
(英語の本を読むことだけは、まだ手間かもしれません)
翻訳する小さな手間さえ惜しまなければ、米国株投資もできますし、
英語の豊富な情報にアクセスできるでしょう。
日本語だけの情報に頼っていることは、
比較優位の特徴の中でも大きな差がつきやすいと考えます。
数学・プログラミング
AIは、煩わしかったり、難しかったりする計算を
手入力なしに行ってくれるようになるでしょう。
現在、AIは受験勉強を解くタスクにおいて、苦手な分野がまだ多くあります。
この知的作業能力が向上すると、
人が抱く疑問に対して、論理的・数学的に妥当な回答を、
今以上の信頼性で返してくれるようになるでしょう。
これは、自動的にプログラムを作り、
実行し、シミュレーションしてくれることも含みます。
投資・トレードにおいて、
数学・プログラミングの知識を使えるかどうかは、
証券の本質的価値や、ボラティリティ、オプションへの理解、
優位性の発見・検証、自動化において、非常に比較優位な強みです。
この知識の獲得が、AIのおかげでハードルが下がりつつあります。
反面、先ほども言ったように、できないとなれば大きな差がつくことになるでしょう。
現在の活用法としては、
- あるプログラミング言語で書かれたスクリプトを別のスクリプトに翻訳させること
- 売買ルールをだいたいのプログラムロジックに効率的に落とし込むこと
などに活用できます。
実際、私もTradingviewのpinescriptに、
トレードアイデアを落とし込む際にChatGPTを使用しています。
AIにバグを発見させることで、デバッグもかなり効率化しつつあります。
今後はある機能に対して、
テストデータを自動作成させることもできるのではと思います。
おわりに
以上の様に、すでにAIの利便性により、
投資・トレード行動には大きな変化が生じてきています。
もちろん今でも、人の心が相場を動かすことはしばらく変わらないでしょう。
しかし、相場環境に適応するということは、
かなり本質的な行為であり、
AIを無視せずにいることはできないのではないでしょうか。